
こんにちは!マツナガです!
今日の記事では、消防隊の仕事である自主防災訓練の指導について解説します。
自主防災訓練とは、地域の町内会などが自主的に行う防災訓練であり、建物などに法的に義務付けられている消防訓練とは別物です。
町内会・自治会などから訓練指導の依頼があり、日程調整や指導内容を打ち合わせてから指導に向かいます。
指導内容としては、水消火器による消火訓練、スタンドパイプを使った放水体験、地震体験、煙体験、心肺蘇生法指導、防災講話などがあります。
消防隊に配置されていれば、定期的に実施される重要な仕事ですので、消防士になりたい方の参考になれば幸いです。
それでは、早速やっていきましょう!
目次

自主防災訓練とは、地域の町内会・自治会などが自主的に行う防災訓練です。
消防法で建物に義務付けられている消防訓練、いわゆる法8訓練とは別物です。
消防署や出張所には、各署所に割り当てられた管区がありますが、自分の署所の管区で行われる自主防災訓練の指導を担当することになります。
もちろん、自主的な防災訓練ですので、あくまで町内会・自治会側が消防署に訓練指導を申し込まなければ、指導に向かう必要はありません。
訓練指導を行う場合は、町内会・自治会からの申し込みがあり、日程や実施内容の打ち合わせをして、本番に臨むといったかたちです。
指導する内容については、自主防災訓練を実施する場所の広さもよりますが、基本的には下記の内容を実施することが多いです。
次からは自主防災訓練で消防隊が指導する具体的な内容を紹介します。
水消火器による消火訓練

火災に備えて、水消火器を使った消火訓練を指導します。
水消火器は町内会・自治会で持っている場合もあれば、消防署から貸し出す時もあります。
内容としては、消火器の使い方(大声で火事を周囲に知らせる、消火器のピンを抜きホースを構える、火点に向かって箒で掃くように消火剤を撒く)を指導します。
消防士には当たり前の消火器の使い方でも、一般の方は1年に1回訓練するかしないかくらいの習熟度です。
消火器の使い方がかなりぎこちない方も多いので、しっかりと使えるように、覚えやすいように指導するのがポイントです。
放水体験

町内会・自治会には「スタンドパイプ」といって、消火栓に接続して放水できる器具を常備している場合があります。

このスタンドパイプを実際に消火栓に繋いで、放水する訓練です。
スタンドパイプは、消火栓に繋ぐ立管、ホース、筒先、消火栓を空ける鍵、台車などがセットになっています。
実際に消防隊が使うホースや筒先よりも一回り小さいサイズなので、取り回しやすいものになっています。
火災や地震災害の時には、消防隊が現場に到着して放水するまでに時間がかかるので、住民自らが放水して消火するための装備です。
しかし、スタンドパイプを使うには最低でも2人以上必要ですし、ホースや通水されたノズルは重たいので、本当の火災や災害の時に地域住民が使うためには、年に何回か訓練する必要があるがあるでしょう。
ホースの伸ばし方・結合方法、消火栓へ立管を接続する方法、放水姿勢、筒先の開き方、片付け方などを指導します。
地震体験

地震体験車を使った地震体験をする場合もあります。
地震体験車は非常に高額なので、消防本部が独自に地震体験車を所有している場合に限ります。
実際に地震の揺れを体験することができるので、自主防災訓練ではかなりの人気コーナーになります。
消防士は、地震体験車の組み立て、操作、安全管理などが仕事になります。
特に小さい子供ははしゃいでしまうので、部品に手などを挟まないか、ケガをしないかなど安全管理に気を付ける必要があります。
都道府県や市などの自治体が地震体験車を保有している場合は、そちらの職員に任せることになります。
煙体験

火災時の煙を体験してもらうのが、ハウスを使った煙体験です。
煙体験ハウス(骨組みと天幕)と煙を発生させるスモークマシンを組み合わせて体験を実施します。
人体には無害なスモークを使っているので、健康を害することはありませんが、煙の独特の甘いにおいが苦手な人がまれにいます。
煙が充満すると、視界がどの程度制限されるのかを実際に体験することができます。この体験も地震体験と並んで人気のコーナーですね。
消防士の仕事は煙体験ハウスの設定と、案内誘導です。煙体験ハウスの天幕と骨組みを設定するのが結構力仕事なので大変です。
心肺蘇生法指導

市民からの希望に応じて、人形と訓練用AEDを使った心肺蘇生法を指導する時もあります。
消防隊の消防士でも心肺蘇生法の指導ができないこともないですが、私が出張所長だった時に自主防災訓練で心肺蘇生法指導があった時は、救急隊員に来てもらっていました。
内容としては、人形を使っての心臓マッサージの方法、AEDの使い方などを指導します。
防災講話、救急車適正利用の案内

火災や地震などをテーマとした防災講話を希望される場合もあります。
防災講話の講師は小隊長(出張所長、主任)以上の消防士が担当していました。
基本的には町内会・自治会側から「地震についての防災講話をお願いします。」など、希望のテーマを伝えてくれたりするので、それに沿った内容で講話をします。
特に希望のテーマが無いときは、私はリチウムイオン電池の火災危険、放火、寝たばこの危険性、救急車の適正利用などについて話すことが多かったですね。
特に最近、救急車の適正利用は消防にとって喫緊の課題です。
救急車の119通報は例年増加しているのですが、ほとんどが救急車利用が必要ない軽症なので、自分で病院に行ける場合は自力で受診するように呼び掛けていました。
実際、救急要請が非常に増加しているので、救急隊員は疲労が溜まっています。
この記事をご覧になった方も、自力で受診できるような軽症であれば、自分で病院に行くようにしていただけると、現役の消防士も助かります。
土日休日、夜間であっても各自治体で受診可能な病院があるはずです。今はスマートフォンで「休日診療」と調べればすぐに出てきますので、元気な時に一度検索してみて、自分の住む地域の休日診療医療機関を調べておくと、いざという時に助かりますよ。
今日の記事では、消防隊の仕事である自主防災訓練の指導について解説しました!
消防士の仕事内容に興味がある方の参考になれば幸いです。
といったところで今日は終わりです。
本日の記事はいかがだったでしょうか?
それでは、また次の記事でお会いしましょう!
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