
こんにちは、マツナガです!
この記事では、私が20年ほど前に消防士に某消防本部の消防士に採用され、某都道府県の消防学校に入校して卒業するまでの7か月間を、当時の訓練日誌などの内容を基に記載していこうと思います!
消防学校とはどんなところか、詳しく解説していきますね!
今回は、消防学校で5月中に行われる、救助訓練と機器取扱訓練の内容を具体的なエピソードを交えながら解説していきたいと思います!!
消防士になりたい人や、これから消防学校に入校する人、消防学校の生活に興味がある人などの参考になれたら幸いです。
それでは、早速やっていきましょう!
・消防士になりたい人
・消防士に内定していて、消防学校に入校が決まっている人
・消防学校の生活に興味がある人
前回の消防学校の生活についてはこちらの記事を参照してください。
👉 【初めての消防車!】消防学校の生活5月編その③【消防活動訓練!】
目次

必要技術レベル ☆3
結索訓練
4月中は結索訓練がメインとなるので、そこまで体力的・技術的には高いレベルを要求されないということは以前の記事で説明した通りだ。
5月も、まだまだ基礎的な内容が中心なので、そこまで高度な訓練はしない。
しかし、他の訓練で習った技術を使わないとこなせない訓練が出てきたりと、応用力が必要になってくるのも5月の訓練だ。
一気にレベルが上がってくるのは6月からである。
5月中には基本結索と器具結索等の総合的な「結索訓練」のテストがある。
基本結索と器具結索の例👇
出典:消防操法の基準(昭和47年消防庁告示第2号)
出典:消防操法の基準(昭和47年消防庁告示第2号)
こういった、基本の結び方、器具の結び方を、30秒以内に作成しなくてはいけない。
当然ながら、結び方がゆるかったり、雑だったりした場合は合格にはならない。
どれか一つの結び方でもできなかった場合は、即不合格になってしまう厳しいテストだ。
このテストは、班ごとに行われたのだが、我が班は全員不合格だった。
というか、A組40人全員不合格だった。
後日全員追試である。
ちなみに、私は「コイル巻きもやい結び」という、自己安全を確保するための結び方ができなかったのだが・・・・。
出典:消防操法の基準(昭和47年消防庁告示第2号)

今日のテストでコイル巻きもやい結びが出来なかった奴は、訓練日誌に「私はコイル巻きもやい結びが出来ないダメンズです」と書け!!!!!!!!

は?
ということで、訓練日誌に書きました。
私はコイル巻きもやい結びを作成できないダメンズです。今日の訓練では、A組全体の士気と、消防職員としての自覚が足りず、大変情けない思いをしました。今日の夜の点呼の後に、A組全体で基本結索の自主訓練を実施することになりました。最低でも基本結索は出来ないと、消防職員として情けないと思います。今日の自主訓練で確実に覚えたいと思います。
確保訓練
1回だけしか行われなかったが、5月の中旬に確保訓練が行われた。
確保訓練というのは、簡単に言うと「崖下に居る要救助者をロープで引き上げる」訓練だ。
確保訓練のイメージ👇

・引き上げ要員・・・要救助者(ポリタンク)を訓練棟の上からロープで9m引き上げる担当
・確保要員・・・引き上げた要救助者が落ちないように、引き上げたロープを体に巻き付けて確保する担当
・結索要員・・・地上でポリタンクにロープを結ぶ担当
・補助ロープ要員・・・ロープを引き上げる時に、要救助者(ポリタンク)が訓練棟の壁に激突しないよう、補助ロープで引っ張る担当
訓練当日は悪いことに雨が降っていた。
訓練は3班合同の12人で行われ、1人が全ての要員を実施するまで終わらない。
自分は最初に、ポリタンクを引き上げる、引き上げ者をやったのだが・・・・。

雨で手袋が濡れて滑る!!!!!
ロープが引き上げられない~!!
マジでびっくりするほど上がらない。
訓練をする時は、皮手袋を装着するのだが、濡れているとツルツル滑って上手くロープをつかむことができない。結局自分は3mくらいしか引き上げることはできなかった。

雨でも滑りにくい手袋を装着するなど、道具選びも消防士にとって大切なことだとこの時に思いました。
消防士にオススメの手袋についてはこちらの記事を参照してください。
そして、次に自分がポリタンク結索担当になったとき・・・。
雨で手が滑るし、器具結索も習ったばかりなので素早く結ぶことができない。
しかも訓練棟の屋上から鬼の怒声が聞こえるので焦る。

さっさと結べ~!!!!
要救助者が死んじまうぞ!!!!

すいません!!!!ポリタンク結索中!!!
結局、合同で訓練をやった12人のうち、ほとんどの学生が素早くポリタンク結索をすることができなかったり、ポリタンクを引き上げられなかったり、ミスを連発したのだった。

お前たち、今日は夕食が終わったら教官室に来い・・・。
まさかの12人全員呼び出しである。
訓練後、夕食中に班員で話し合った。

どんなペナルティさせられるかな?

やっぱり腕立てじゃない?教官相当怒ってたよ・・・。

激しいペナルティかもしれないから、夕食軽めにしておこうかな・・・。
みんな戦々恐々としていたのを憶えている。
そして、12人で教官室に出頭した・・・・。

・・・・・お前らさっきのざまはなんだ?
腕立ての姿勢をとれ!

は、はい!!!
12人で廊下に腕立て伏せの姿勢を取る。
教官の掛け声で腕立てが始まった。

腕立て400回だ!!!!
その身に刻み付けろ!!!!!

1!2!3!
自分は、「「刻み付けろ」ってすごいセリフだな・・・」とか考えながら腕立てをしていたと思う。
5月とはいえ、400回も腕立てをするのだから、みんな汗だくになって、Tシャツもぐしょ濡れになり、汗が滴っている。
そして、400回の腕立て伏せが終わるころ・・・。
教官の最後のセリフは未だに憶えている。正にその身に刻みついたのだ。

現場でミスしたらなあ!!!!!
遺族の前で何回腕立てやっても許されねえんだ!
わかったか!!!!!
班員のAとCは泣いていた。

うっ・・・・うっ・・・・

・・・・・・・・・・・・
腕立てをしていた廊下には、2人が流した涙の痕のように、汗の水たまりができていたのだった。
今日の訓練では確保を行いました。しかし、その中で、ポリタンクへの結索をミスしてしまい、ペナルティとして教官から400回の腕立て伏せが課せられました。夕食の後、12人で教官の目の前で、ペナルティを行いました。その後、教官が言った「今はペナルティで許されるが、現場でミスをしたら、遺族の前で何回腕立て伏せをしても許されない。」という言葉が、心に焼き付きました。今後、1つの結索でもしっかりと確認し、行うことができるようにしたいと思います。

必要技術レベル ☆3
機器取扱訓練は、5月に入ると「三連はしご取扱訓練」が始まる。
5月中の訓練は、まだまだ消防隊としては基礎的な訓練の内容だが、徐々に高度になっていく。
上で説明した、結索訓練で習った結び方を使わないと、三連はしごを固定することはできない。
今後も、他の訓練で習ったことを応用しないといけない訓練が増えてくるので、学生にとってはどの訓練も必死に覚える必要があった。

5月以降は複合的な訓練が増えてくるよ~。
三連はしごの説明
「三連はしご」とは、通常、消防車に1個装備されており、建物のベランダから進入したり、火災のときに「梯上放水」といって、梯子の上から放水する際に使用するものだ。
三連はしごの代表的な仕様はこんな感じだ。
・材質・・・チタン、アルミ、鉄など
・全長・・・8.7メートル(収納時3.5メートル)
・重さ・・・31~35kg程度(材質により異なる)
出典:関東梯子株式会社公式ホームページ
裏技!!!
出典:消防操法の基準(昭和47年消防庁告示第2号)

三連はしごはこのように、上の図の赤丸の部分を1番員と2番員が右肩で担いで搬送するのだが・・・・。
35kgもの重さが、ピンポイントで右肩にかかってくるので、肩に食い込んでめちゃくちゃ痛い・・・。
しかも、訓練の途中でミスをすると、教官が三連はしごを使ったペナルティを与えてくる。

三連はしご担いで校庭3周してこい!!
右肩をめちゃくちゃ酷使するので、この痛み対策がクッソ重要だ。
ここで裏ワザの登場である。
私は、クッションになるよう、訓練服の右肩に小さいメモ帳を両面テープで固定していた!!!!!👇

肩が不自然に膨らまないように、なるべく薄目でかつプラスチック製の表紙の固い素材のものを選ぶのがポイントだ。
こういうプラスチックの表紙の小さいメモ帳👇
自分は、濡れても大丈夫なメモ帳のページをあらかじめ半分くらいちぎり取ってから肩に仕込んでいた。
これで右肩の痛みとはサヨナラだ。
いや、逆転サヨナラ満塁ホームランくらいこの裏ワザは活躍してくれた。
ちなみに、学生だった当時は教官にチクられたり、同期から軽蔑されるかもしれないと思って誰にも言えなかった・・・。

今だから言えるこの裏ワザ・・・。これから消防学校に行く人も使っていいですよ。バレないようにね。
三連はしごの訓練
三連はしごの訓練の流れを説明しよう。
こちらの動画を見ていただければイメージがつかめると思う👇
訓練は三連はしご1基に対して、1人の教官と8人(2班)の学生が付く。
訓練実施者は3人なので、残りの5人は見学している。
・指揮者・・・はしごを立てかける位置など、全体の指示をする。はしごの操作はしない。
・1番員・・・はしごの搬送、伸縮、ベランダへの進入を担当する。
・2番員・・・はしごの搬送、固定を担当する。

①指揮者と1番員、2番員が整列し、指揮者は三連はしごで進入する目標を指示して訓練開始する。

②1番員と2番員は、指揮者が「基底部この位置!」と指示した位置に三連はしごを搬送する。

③2番員と1番員で協力して、三連はしごを地面に垂直に立てる。
2番員は三連はしごの把手を引き出してつかみ、固定する。
1番員は指揮者の「伸てい!」の指示で、三連はしごのをベランダに架けられる長さになるまで伸ばす。

④三連はしごをベランダに架け、2番員は三連はしごを固定して「確保」する。
1番員は三連はしごに上り、ベランダの強度を確認した後に進入する。
指揮者は、1番員のベランダへの進入を確認したら、「おさめ!」と命令して訓練終了。
この①から④の流れを8人の覚醒でひたすらローテーションしていくのが「三連はしご訓練」だ。
三連はしご訓練が終わったら、残りの1時間ほどで恐怖のメリーゴーランドを含むサーキットをやって、機器取扱訓練の終了となる。
恐怖のメリーゴーランドについてはこちらの記事を参照してください。
👉 【消防学校のトレーニング】消防学校の生活4月編その③【ついに訓練開始!】

訓練お疲れ様でした!
今日は、機器取扱訓練で、初めて三連はしごの操法を行いました。最初の訓練だったので、全く勝手が分からず、周りの班員に教えたり、教えられながら何とか指揮者、1番員、2番員の三役をこなすにとどまってしまいました。次回の訓練までに復習します。訓練の終わりには、新たなメニューが加えられたサーキットを行いました。機器取扱訓練の最初のころには、時間がかかっていましたが、皆の体力がついてきたからか、時間通りに終わることができました。サーキットはこの調子で頑張りたいと思います。
今回は消防学校で5月中に行われる救助訓練と機器取扱訓練の内容を解説しました!
・結索訓練のテストがある。
・確保訓練のポリタンクは、18キロ程度だがすごく重い・・・
・現場で失敗したら腕立てしても許されない。
・三連はしごは担ぐと肩に食い込んでメッチャ痛い。
・裏ワザ!メモ帳仕込み!
次回の消防学校の生活は、6月編その①で、消防学校生活で一番きつかった1週間の内容を解説する予定です!
この記事が、消防士になりたい人や、これから消防学校に入校する人、消防学校の生活に興味がある人などの参考になれたら幸いです。
といったところで今日は失礼します。
本日の記事はいかがだったでしょうか?
それでは、また次の記事でお会いしましょう~!
次の「消防学校の生活」消防学校で一番厳しかった1週間についてはこちらの記事を参照してください。
👉 【消防学校で一番厳しい1週間】消防学校の生活6月編①【エンドレス追い越し走】
消防学校で必要なものリストはこちらです👇
消防学校の一日のスケジュール、食事内容、お風呂・売店などの施設関係のまとめ記事はこちら👇
👉 消防学校の食事・風呂・売店・寮室・持ち物・一日のスケジュールまとめ!
消防学校の生活4月~6月についてはこちら👇
消防学校の生活7月~10月についてはこちらの記事を参照してください。
👉 【まとめ記事】消防学校の生活7月~10月編まとめ!【応用訓練から卒業まで】
消防学校での息抜き方法についてはこちらの記事を参照してください。